医療・介護の充実
〇 医師不足の解消
皆さんは、いわき市は「医師不足が深刻」な状況であることはご存じでしょうか?
厚生労働省では、2年に一度、「医師・歯科医師・薬剤師統計」(三師調査)を実施し、医師等の性別、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名等による分布を調査しています。
最新の統計結果は、概ね以下のとおりとなっています。
・人口10万人あたりの医師数
・医師の平均年齢
いわき市は、特に「病院勤務医」が非常に少ない(全国平均と比べて57.3%)ことに加え、医師の年齢も高いことがわかります。
このような状況もあって、人手不足により受入れ態勢が整っていないなどの理由により、救急患者を病院に搬送するまでに時間が掛かったり(救命に直結する大きな問題です)、診療科または患者の病状によってはいわき市で十分な治療を受けられず、他市・他県に行かなければならないなど、救命や日々の生活にも大きな影響があります。
いわき市ではこれまで、このような深刻な状況を改善すべく、様々な医師確保対策を実施してきました。その効果もあり、徐々に市内の医師数は増えてきているものの、上記のとおり、まだまだ不足は深刻です。
(参考)病院勤務医(実人数)の推移
ちなみに、福島県全体でも全国と比べて医師が少ない状況となっており、福島県では「第8次医師確保計画」を策定し、医師確保の方針や様々な施策などを定めています。
この計画では、いわき医療圏(いわき市)で、R8年度までに+75人(R2年度比)の医師確保を目標としています。
※ R2年度の標準化医師数は566人(いわき医療圏)ですので、641人が目標となります。
※ 医師確保計画の詳細はこちら(県HP)から
医師不足を解消し、誰もが安心して医療を受けられる体制を実現するため、
① 寄附講座の開設、医科大学からの医師派遣、臨床研修医の受け入れ人数を増やし、医師の確保に取り組みます!
② 医師から選ばれる(集まる)環境づくりを推進します!
③ 中学・高校生に対する医師の魅力紹介(特別授業)や現場体験等を実施し、将来医師を目指す生徒を増やすための取り組みを推進します!
①についてですが、そもそも寄附講座とは何か、と言うと、
寄附講座・・・自治体や企業等からの寄附金をもとに、寄附者の意向を踏まえ、大学が研究を主な目的として設置する講座のことです。自治体からの寄附金による医学分野における寄附講座については、特定の医療機関に医師を派遣し、常勤(または非常勤)医師として日常の診療や手術などを担いながら、その地域における各分野(産科や整形外科など)を研究する形が主なものとなっています。
つまり、寄附講座の開設=新たな勤務医の確保となります。いわき市でも現在複数の寄附講座を開設したり、県内外の医科大学から医師派遣を受けていますが、特に医師の確保が必要だと見込まれる分野を中心に、引き続き関東圏などの医科大学との寄附講座開設や定期的な医師派遣に向けた取り組みを求めていきます。
また、臨床研修医の受け入れ人数の増については、少し古い統計になりますが、初期臨床研修(医師免許取得後に、2年間特定の病院で外来診療などを担当しながら、基本的な診療能力を身に着けることを目的とした研修)を実施した場所で、その後も勤務する研修医の割合が高いことが分かっています。
つまり、いわき市の臨床研修医が増えれば、研修終了後もいわき市で勤務する医師が増える可能性が高くなります。厳しい基準をクリアし、国から指定を受けた病院でしか臨床研修医を受け入れられず、また、受け入れにあたっては指導医などの確保も必要であることから、更に受け入れ人数を増やすためには様々な課題がありますが、受け入れ人数の増に向けた取り組みを求めていきます。
②についてですが、他の職業でも共通することだと思いますが、勤務先や勤務地でキャリアアップ出来る環境を整備することは、今後もその場所で就業継続してもらうために重要な事だと考えています。
いわき市では、新たな取組みとして、特に若手医師や女性医師などを対象に、「いわき市全体を研修フィールドにする」取組みや、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。このような取組みは、いわき市に勤務する魅力を高める素晴らしい取り組みだと思います。
引き続きこのような取組みを支援していくとともに、更に魅力を高めていけるような提案を行っていきます。
③についてですが、人材が不足している他の職種(例えば保育士や教師など)でも言える事だと思いますが、人材の確保のためには、早期の段階から職業に興味を持ってもらう、魅力を知ってもらうことも重要な事だと思います。医師の確保においても同様に、例えば中学生・高校生が、将来「医師(または看護師や薬剤師などの医療人)を目指したい!」と思えるような経験を体験できる場を積極的に設けることで、いわき市育ちの「医師の卵」を増やし、将来医師として、生まれ育ったいわき市に戻ってくる・・・そういうことが期待できます。
令和4年度から磐城高校に「医学コース」が設けられ、高校2年次から医学部進学に特化した学習指導や体験実習などを実施しています。また、医師会やいわき市では、小学生・中学生に対して「いのちの授業」と題し、医師を始めとした医療職の方々の職業・魅力を紹介する出前講座を実施したり、縫合などの体験会などを実施するなどの取り組みを行っています。
これらの取り組みは、いわき市出身の医師の成り手を増やすために重要な取組みです。これらの取組みがより効果的なものとなるよう、様々な提案を行っていきます。
医師不足の解消は喫緊の課題ではありますが、一時的に医師が増えるだけの取り組みだけではなく、根本的な解決のためには中長期の視点で取り組まなければならないと考えています。
これらの取り組みを通して、短期・中長期で医師を確保し、将来的な医師不足の解消に取り組んで参ります!
※ いわき市の取り組みの詳細はこちら(市HP)から